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一般財団法人ジャパン・マザーミッション機構
角田頼重

 盗聴器を見つけるための探知機を持ってきた母。
実際の操作は簡単だが、母には理解できなかったので代わりに私が使う事になった。

 探知機を使い始めてしばらく経ったある日。
探知機が電波をキャッチしたので、いつも通り周波数を合わせると音声が入ってきた。
その声は全く知らない男性の声。誰かと話している様だ。
そして、それを聞いた母のテンションが一気に上がる。
ほら泥棒だ!やっぱり仕掛けられていたんだ!
自分が正しかったと言わんばかりに騒ぎ立てる。
会話の内容を確認したいのに、横で騒ぐ母が煩くて聞き取れない。
イラつきで探知機を叩き付けたくなる。

 後々調べたが、この探知機のお値段が何と5万円程する。
母は探知機を借りてきたと言っていたが、本当かどうかは分からない。
というか、5万円で探知機を買って自分で探すくらいなら、その5万円で盗聴Gメンを呼んだ方が確実ではないかと思う。
ようやく母が静かになった所で会話の内容を確認する。
会話をしているのは男性2人。
その内容は工事をしているとか、警察の検問があるとか。
どうやら、トラックの運転手同士が無線を使って交通情報を共有している様だった。

 あとは、日常的な会話などの雑談。
無線はチャンネルを合わせる事によって、同じチャンネルの人と話せるというものだ。
特に珍しい事ではなく、長距離のトラック運転手で使っている人も多い。
まわりの遮蔽物などの環境にもよるが、その通信距離は数km先まで届く事もある。
今でこそスマホアプリで無料通話が出来る時代になっているが、当時はかなり重宝されていた。
その無線電波を探知機がたまたま拾ってしまい、たまたまチャンネルが合ってしまったのだ。
その説明を母にしたが、会話の中で出てきた「警察」という言葉で、泥棒が警察に捕まらない様に話しているんだ!
うちの家に入る相談をしているんだ!
といった感じで、すでに違う世界に行ってしまっている。
最早こちらの言語は通じない。
明らかに違う話を「ソレ」と思い込まれては成す術がない。
その日の説明を諦めた私は、テーブルに探知機を置いて自分の部屋に戻った。

 次の日、仕事から帰ると家に警察官が来ていた。