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一般財団法人ジャパン・マザーミッション機構
角田頼重


母親が認知症を発症した。10年程前の出来事だ。
ただの年齢による物忘れと思っていたものが、いつの間にかボケに。そして認知症に。


本当に・・・、いつの間にかだった。


物取られから始まって泥棒騒ぎを起こし、警察を呼んだ。
取られた物は、パジャマ。
犯人は腰の曲がったおばあさんと男性2人。


捕まる可能性があるのに、誰が老人のパジャマを盗るのか。
複数人いて、リスクとメリットが見合わないだろう。


当時の自分は、論理的に母親に説明していた。


それに対して、母親の返事はいつも決まって、「そんなの犯人に聞かなきゃ分からない」
言いたい事は分かるが、とてもじゃないが話が噛み合わない。


仕事から帰宅して泥棒。夜寝ている時に泥棒。朝出かける前に泥棒。
これを毎日聞かされる。
関係のない人に、いつ突撃するかも分からない勢いだった。


しかし、言っている事が明らかにおかしくても家族だ。
やってあげられる事はやっておこうと思った。


まずは、本当に泥棒が「いない」のかどうか。
部屋に隠しカメラを設置し、動体検知で撮影する様にした。
画面に変化が起きれば、写真を撮ったり録画するものだ。


難しそう!と思いそうだが、実際そうでもない。
パソコンを除けば、費用は数千円で済む。
スマホを持っていればパソコンも不要かもしれない。
下手に業者に頼んで数万円取られるより、知識もついて一石二鳥!


母親の認知症の症状や言動でイラつく日もあったが、そんな理不尽なものに対して協力している自分に少し感心もしていた。


そして、泥棒がいる証拠を撮ろうとしている事が嬉しかったのか母親の機嫌が良かった気もする。
相変わらず泥棒泥棒と言ってはいたが、落ち着いていた。


なるほど。
認知症の言動に対して否定してはいけないのは、こういう事ことなのか。
撮影の設定をしながら、そんな事を理解した。