水上先生


一般財団法人国際健康医療研究所理事長

医学博士・米国公衆衛生学博士 水上 治


薬疹から謙虚に学ぶ



恥を忍んで告白します。半月程前、実は虫歯のために飲んだ鎮痛剤による発疹に、今も苦しんでいます。服用後数時間で、左足大腿部に多数の赤い発疹が出現しました。一瞬何が起きているか、理解不能でした。弱めの薬だし、飲み慣れていて、今まで何も副作用がなかったことで、油断していました。内科医は、薬物のプロだから、少なくとも自分に起こしてはいけないはずでした。



たかが薬疹ではありますが、私にとっては実に不快な日々で、何となくだるいし、胃腸の調子も悪く、突然発作的に痒くなり、熟睡を妨げられ、気鬱になります。習慣化していた有酸素運動や筋トレもやる気になれず、日々体力が落ちていきます。長年堅持してきた健康維持の生活サイクルが、一瞬で崩れてしまいました。一度の風邪薬の服用で、全身に発疹が出て死にかけ、失明したあるバイオリニストを思い出し、もう一服のまなくてよかったと、胸を撫でおろしています。



自然物である人間が人工物を体内に入れた時、異物反応としての一種のアレルギー現象を起こします。毒として体が認識したら、まず肝臓へ運ばれ、解毒されますが、不十分なら、皮膚から排泄されます。それが発疹です。異物は、細胞レベルでは極めて複雑な未知の病的現象を必ず起こしていると考えるべきで、いのちの調和を乱しているのです。



徒然草で吉田兼好は、「友とするにわろき者に、病なく身つよき人」をあげています。健康に恵まれている私も、時に病気になった方が、友としていいのでしょう。



人間は自然の一部であり、人為的な介入は危険を伴うことを痛感しました。人工物を体内に入れるときは細心の注意を払うべきです。漢方薬は自然物ですが、アレルギーや肝機能障害などは患者さんに診ていますし、食べ物も自然物ですが、アレルギーは起こりえます。サプリメントがどんなに自然物でも、稀にアレルギーが起こりうることには、細心の注意が必要です。人間が自然の一部であることは絶えず銘記してください。繰り返しますが、コロナ禍は自然の侵食から来ています。



数日後には私は完治して、今回学んだことを生かして、更に思慮深く生きていますので、ご心配なく。